2010年04月20日 新潟日報

日本人の本能刺激

白鳥は2008年に新潟市内の企業ナミックス・テクノコアに横幅4mの大作「我が心のふる里」を設置している。写真では見せてもらったことがあったが、今回の個展でその一部、それも核心とも言うべき場所を描いた作品をみることができた。

そこに描かれた鎮守の杜の祠はこの集落の精神的な柱であろう。手前の穏やかな川面は周囲の田畑を潤し、人々の暮らしを支えてきた。背景の山々の重なりとたなびく雲は、縄文・弥生の古代から変わらぬ姿を見せてきたに違いない。新潟の人だけでなく日本人の大半が連綿と受け継いできた農耕文化のルーツが描かれている。人工的なものは何も無く、自然そのものの佇まいだが、日本人としてのDNAを刺激してくる。

白鳥は故郷の風景のほか自身が住む都会のシーンや花を描くのを得意としている。今回アクリル絵の具と岩絵の具を溶くのにアートレジンというメデュウムを使った。それは絵の具独特のぬめりをとって乾いた仕上がりに効果があるという。

日本人の本能刺激

白鳥は2008年に新潟市内の企業ナミックス・テクノコアに横幅4mの大作「我が心のふる里」を設置している。写真では見せてもらったことがあったが、今回の個展でその一部、それも核心とも言うべき場所を描いた作品をみることができた。

そこに描かれた鎮守の杜の祠はこの集落の精神的な柱であろう。手前の穏やかな川面は周囲の田畑を潤し、人々の暮らしを支えてきた。背景の山々の重なりとたなびく雲は、縄文・弥生の古代から変わらぬ姿を見せてきたに違いない。新潟の人だけでなく日本人の大半が連綿と受け継いできた農耕文化のルーツが描かれている。人工的なものは何も無く、自然そのものの佇まいだが、日本人としてのDNAを刺激してくる。

白鳥は故郷の風景のほか自身が住む都会のシーンや花を描くのを得意としている。今回アクリル絵の具と岩絵の具を溶くのにアートレジンというメデュウムを使った。それは絵の具独特のぬめりをとって乾いた仕上がりに効果があるという。

油彩画に見られる照りや艶よりも日本画のような表面の肌触りを好むところに、単なる絵の具の違いだけの問題ではないものを感じる。なお今回の風景画には人物が登場してきたが、それは風景の中の点景として位置ずけられている。人物を描かなくても人間を感じさせる「我が心のふる里」とは異なり、現代を表そうとしている。

1949年新潟市生