2013年09月24日 糸魚川タイムス

古里に恩返し

糸魚川市出身で二幸産業(本社・東京)会長の小林保廣さん(77)は、”古里への恩返し”として菩提(ぼだい)寺である同市田伏の大雲寺(丸太龍也住職)に、東京都内でアトリエを構える画家・白鳥十三さん(64)が描いた「白蓮(びゃくれん)」を寄贈した。23日に同寺本堂で除幕式が行われ、小林さんらが東京から駆け付ける中、大作が初お披露目された。小林さんは「地域に貢献したかった。お寺にふさわしい作品が本堂に飾られてうれしい」と話し、丸田住職は「気持ちが落ち着く素晴らしいハス画。心のよりどころになる」と喜んだ。

寄贈者の小林さんはエジソンに憧れて上京。「仲間とお客様がいてこそ幸せになれる」をモットーに二幸産業を興した。創業から半世紀、ビル管理や介護事業も合わせ日本一のビルメンテナンス企業を築き上げた。作者の白鳥さんは新潟市出身で、アクリルと岩絵の具を使った混合技法で知られている画家。デジタル技術の「ジクレー版画」にも取り組んでいる。小林さんと白鳥さんの交流は森邦雄副知事(64)が縁。小林さんは要人が集まる県人会で白鳥さんの絵と出あい、「古里の梶屋敷から見える夕映えの日本海を描いてほしい」と懇願。見事な出来栄えに、菩提寺に寄贈する作品の制作依頼を決意した。

1年かけ大作

白鳥さんは以前に描いたハス画と東京・上野のハスをベースに、1年がかりで仕上げた。「キャンバスで葉や白い花を何度もずらした。パズルのようだった」と振り返った作品は、200号に相当する縦1.6メートル、幅3メートルの大作。「依頼された時期はハスの季節が終わっていたので、以前に新潟で描いたハスを思い浮かべながら進めた。白いハスは住職の希望でした」と明かした。除幕式には小林さん、白鳥さん、森副知事らが駆け付けた。幕が取り払われると、本堂に荘厳な「白蓮」が姿を現した。白鳥さんと高校の同級生でもある森副知事は「白鳥さんの絵は古里を思う気持ちで満ちあふれている」とあいさつ。丸田住職は「白いハスは仏と深い関わりがある。本堂にふさわしい」と話した。除幕された白蓮をあらためて見つめた小林さんは「最高だね。これからも地域貢献していきたい」と満足した様子だった。